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棚卸に時間がかかる原因|準備・現場・集計から短縮する5つの方法

#棚卸

「棚卸が一日仕事になっている」「深夜や早朝でないと着手できない」。棚卸のご相談でいちばん多いのが、この2つです。

ただ、棚卸に時間がかかる理由を「数えるのが遅いから」と考えると、たいてい打ち手を間違えます。実際に時間を食っているのは、数える前の準備と、数えたあとの集計だからです。

この記事では、棚卸の時間がどこに消えているのかを3つの工程に分けて整理し、紙とエクセルのままでも今日から効く短縮方法を5つご紹介します。

この記事でわかること

  • 棚卸の時間が、準備・現場・集計のどこに消えているのか
  • 棚卸に時間がかかる5つの原因と、それぞれの短縮方法
  • 手をつける順番(効果が出やすい順)
  • 自動化できる作業と、人が続ける作業の線引き

棚卸の時間は「準備・現場・集計」の3工程に分かれる

棚卸を3つの工程に分けて考えると、どこに時間が消えているかが見えます。

工程やっていることよくある時間の使われ方
準備棚卸リストの作成・印刷・配布、商品マスタの整備前日までに数時間
現場現物を数える、リストや用紙に書き取る2人1組 × 拠点ごとに数時間
集計手書きメモをエクセルに転記、金額の計算、差異の確認現場作業と同じかそれ以上

多くの現場で、準備と集計の合計が現場作業より長くなっています。つまり、現場の作業速度をいくら上げても、全体はあまり短くなりません。

短縮を考えるときは、まず自社の棚卸がこの3工程にどう配分されているかを書き出してみてください。これから挙げる5つの原因のうち、どれが自社に効くかが判断できます。

原因1:棚卸のたびにリストを作り直している

先月からの入荷で商品が増えていれば、その分リストを直す必要があります。これを毎回やっていると、棚卸の前に必ず「リスト整備の日」が発生します。

さらに、リストに載っていない商品が現場で出てくると、その場で判断できず持ち帰りになります。現場は「これは載っていないから数えなくていいのか」と迷い、事務所に確認し、返事を待つことになります。

短縮方法1:リストに載っていない商品を、現場で判断させない

「あるものは全部記録する」に統一します。要る・要らないの判断は、あとから責任者が記録を見て行えばかまいません。現場に判断を求めなければ、確認の往復と数え漏れが同時に減ります。

あわせて、リストを毎回ゼロから作り直すのをやめ、前回の棚卸結果をそのまま次回の下敷きにする運用に変えます。差分だけを直せばよくなるので、準備の時間は大きく縮みます。

原因2:2人1組でしか進められない

「1人が数えて、1人が書く」という分担は、紙の棚卸では合理的です。手袋をしたまま紙に書くのは難しく、冷凍庫ではなおさら手がかじかみます。

ただし、この形をとると棚卸に投入できる人数が実質的に半分になります。4人集めても2組にしかならず、人を増やしても作業はそこまで速くなりません。

短縮方法2:記録の手段を紙から変える

片手で記録できる手段に変えると、1人が1つの棚を受け持てるようになります。人を増やした分だけ作業が速くなる形になり、深夜や早朝に人を集める必要も薄れます。

このとき、記録の手段を変えるだけでは足りません。あとで説明する「商品の特定を現場から外す」とセットにしてはじめて、1人作業が成立します。

原因3:商品名の表記がゆれている

手書きの用紙には、書いた人のくせがそのまま残ります。「たまねぎ」「玉ねぎ」「玉葱(加工)」がすべて別の書き方で並ぶと、集計する人はどれがどの商品かを1つずつ特定することになります。

「これは棚卸すべき商品か」がわからないときに、いちいち上司に確認していました。写真なら撮って数えておけば、後で上司が写真を見て判断できるので、自分は数えることに集中できます。 — 株式会社 豊洲漁商産直市場 様

この確認の往復が、現場と事務所の両方の時間を奪います。

短縮方法3:現場に商品を特定させない

現場に残してもらうのは、数量と、あとから見て判別できる情報の2つだけにします。判別できる情報とは、現品のラベルや、商品そのものが写った写真です。

商品の特定と集計は、事務所側でまとめて行います。この線引きができると、現場作業から「探す」「調べる」「確認する」が消えます。

原因4:集計が1人にしか任せられない

手書きメモから商品を特定できるのは、商品名を把握している人だけです。結果として集計が特定の1人に集中し、その人の予定が棚卸の日程を決めることになります。担当者が休めば、棚卸が止まります。

短縮方法4:判別できる材料を記録に残し、担当を固定しない

記録に写真が残っていれば、商品名に詳しくない人でも候補から選ぶ作業ができます。作業を複数人で分担できるようになり、1人に集中していた負荷が下がります。

属人化の解消は、時間短縮だけでなく、担当者が変わったときのリスク対策にもなります。

原因5:金額と差異の計算を手作業でやっている

数量が揃ってからも、単価をかけて金額を出し、前回との差異を確認する作業が残ります。エクセルでやっている限り、拠点が増えるほど作業も比例して増えます。計算式の崩れや行ずれのチェックにも時間がかかります。

短縮方法5:数量が確定した時点で、金額と差異が出る形にする

棚卸表を手で組み立てるのではなく、数量を確定した時点で金額と前回差異まで出るようにします。会計や本部報告に渡す形式(CSVなど)でそのまま出せるようにしておくと、転記の工程自体がなくなります。

手をつける順番

いきなり全部を変える必要はありません。効果が出やすい順に並べると次のようになります。

  1. 現場に商品を特定させるのをやめる(原因1・3)
  2. 集計に使える材料を記録として残す(原因3・4)
  3. 金額と差異の計算を手作業から外す(原因5)
  4. その結果として、2人1組をやめられるか検討する(原因2)

1と2ができると、現場の作業は「数える」だけになります。そこまで来ると、棚卸の日程を特定の人の予定に合わせる必要がなくなります。

自動化できる作業と、人が続ける作業

誤解されやすいところなので、先に線引きをはっきりさせておきます。

作業自動化できるか
現物を数えるできない。人の仕事のまま
商品を特定するできる
台帳・マスタと突き合わせるできる
棚卸表を作るできる
金額・前回差異を集計するできる

数える作業そのものを速くする余地は、実はあまり残っていません。短縮できるのは、その前後にくっついている作業です。ここが棚卸全体の半分以上を占めているので、外すだけで印象が変わります。

写真で記録すると、5つの原因がまとめて外れる

ここまでの5つは、突き詰めると「現場が記録に残せる情報が少なすぎる」ことが共通の原因です。紙に書き取れるのは商品名と数量だけで、それ以上の情報は残りません。

現物の写真を記録として残すと、次のことが同時に起こります。

  • リストに無い商品も、そのまま撮って先に進める(原因1)
  • 片手で記録できるので、1人で進められる(原因2)
  • 商品名を書かなくてよいので、表記のゆれが起きない(原因3)
  • 写真を見れば誰でも商品を選べるので、集計を分担できる(原因4)

弊社が提供しているラクだなは、この考え方をそのまま形にした棚卸アプリです。現場はスマホで現物を撮って数を入れるだけ、事務所は写真を見てAIが並べた候補から商品を選ぶだけで、棚卸表と金額、前回との差異まで仕上がります。

棚卸アプリ「ラクだな」のスマホの撮影・数量入力画面と、パソコンの商品割当画面

バーコードやQRコードの発行・貼り付けは必要ありません。ラクだなの使い方では、実際の画面で流れをご覧いただけます。

短縮できたかどうかを確認する

やり方を変えたあと、本当に短くなったのかを確かめないと改善は続きません。次の4つを、棚卸のたびに記録してください。特別な仕組みは要らず、メモで十分です。

記録する項目見方
準備にかけた時間リスト整備・印刷・配布にかかった時間。ゼロに近づいているか
現場作業の時間と人数延べ時間(時間 × 人数)で見る。人数が減っていれば投入コストは下がっている
集計にかけた時間転記・特定・金額計算の合計。ここがいちばん縮みやすい
差し戻しの件数現場への問い合わせや数え直しの回数。運用が噛み合うほど減る

とくに見てほしいのは、延べ時間と差し戻し件数です。現場の実作業時間が同じでも、人数が半分になっていれば投入した人件費は半分になっています。差し戻しが減っていれば、現場と事務所の待ち時間も一緒に消えています。

2〜3回分を並べると、どの工程がまだ重いのかがはっきりします。そこだけを次の打ち手の対象にすれば、やみくもに全部を変えずに済みます。

まとめ

棚卸に時間がかかる原因と、短縮する方法をまとめます。

  • 時間を食っているのは現場作業ではなく、準備と集計
  • リストに無い商品を現場に判断させるのをやめると、準備と差し戻しが減る
  • 商品の特定を事務所に寄せると、現場は数えることに集中できる
  • 判別できる材料(写真など)を残すと、集計を複数人で分担できる
  • 数量の確定と同時に金額・差異が出る形にすると、転記がなくなる

現物を数えるのは、これからも人の仕事です。短くできるのはその前後なので、まずは自社の棚卸を準備・現場・集計の3つに分けて、どこに何時間かかっているかを書き出すところから始めてみてください。

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※本記事の内容は2026年9月時点のものです。

よくある質問

Q. 棚卸にはどのくらい時間がかかるのが普通ですか?
A. 品目数と拠点数で大きく変わるため一概には言えませんが、300〜800品目の1拠点で、準備から集計まで含めると半日から一日かかるケースが多く見られます。現場で数える時間より、準備と集計の合計のほうが長くなることが少なくありません。
Q. 棚卸を短くするには、まず何から手をつければいいですか?
A. 現場に商品を特定させるのをやめることからです。「あるものは全部記録する」に統一し、要る・要らないの判断と商品の特定を事務所側に寄せると、現場作業と差し戻しの往復が同時に減ります。
Q. 棚卸の作業自体を自動化できますか?
A. 現物を数える作業は人の仕事のままです。自動化できるのは、商品を特定する・台帳と突き合わせる・棚卸表を作る・金額を集計するといった、数える前後の作業です。
Q. 2人1組での棚卸をやめることはできますか?
A. 記録の手段を紙から変えれば可能です。紙に書くために2人必要だったのであれば、片手で記録できる方法に変えることで1人ずつが別の棚を担当でき、投入人数をそのまま作業速度に反映できます。
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