kintone弁護士ポータル活用|企業法務・家事・刑事で分けるタブ構成
kintone弁護士ポータル活用|企業法務・家事・刑事で分けるタブ構成
「企業法務の契約書レビュー案件と、離婚事件の進捗管理アプリが同じポータルに並んでいて、担当外の弁護士まで目にしている」「新規相談を受ける前に、過去の依頼者や相手方と利益相反していないか確認するのに毎回時間がかかる」——法律事務所でkintoneを担当していて、こんな場面に心当たりはありませんか?
法律事務所のkintoneは、企業法務・一般民事・家事(離婚・相続)・刑事・債務整理と取扱分野ごとにアプリの中身がまったく違ううえ、新規相談を受けるたびに利益相反のチェックが欠かせません。さらに、裁判の期日や書類の提出期限のように、日数で区切られた期限を数多く抱える業務でもあります。
この記事では、法律事務所のkintoneポータルを取扱分野で分けるタブ構成例と、利益相反チェック・期日管理・事件記録の閲覧範囲を整えるポイントを紹介します。
この記事でわかること
- 法律事務所のkintoneポータルが使いにくくなる3つの理由
- 企業法務・一般民事・家事・刑事・債務整理で分けるタブ構成の具体例
- 利益相反チェック・期日管理・事件記録の閲覧範囲で押さえる3つのポイント
法律事務所のkintoneでポータルが使いにくくなる3つの理由
この記事では、企業法務から家事事件、刑事事件まで複数の分野を扱う法律事務所を想定しています。取扱分野が増えるほど、ポータルに並ぶアプリの種類も増えるためです。
理由①:取扱分野ごとにアプリの中身がまったく違う
サイボウズが公開している士業・コンサル業向けサンプルアプリには、弁護士事務所向けの「案件管理(法律事務所向け)」「【弁護士業】顧客管理」「【弁護士業】経費管理」が用意されています(kintone 士業・コンサル業向けサンプルアプリ、2026年9月時点)。このうち「案件管理(法律事務所向け)」は、案件の管理だけでなく利益相反チェックにも対応し、関連書類やタスクも一元管理できるアプリとして紹介されています(案件管理(法律事務所向け)、2026年9月時点)。
ただ、実際の事務所では、企業法務の契約書レビューと家事事件の調停では記録する項目がまったく異なります。分野ごとにアプリを作り分けるほど、ポータルに並ぶアプリが増えていきます。
理由②:新規相談のたびに、利益相反チェックが必要になる
法律事務所では、新規相談を受ける前に、依頼者や相手方が既存の依頼者・相手方と利益相反していないかを確認する必要があります。弁護士職務基本規程(日本弁護士連合会会規第70号)第28条は、「依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件」などについて、依頼者及び他の依頼者のいずれもが同意した場合を除き、弁護士が職務を行ってはならないと定めています(弁護士職務基本規程、日本弁護士連合会、2026年9月時点)。事務所の規模が大きくなるほど過去の依頼者・相手方の情報は蓄積され続け、照合の手間も増えていきます。
理由③:期日・期限が通知の中に埋もれる
法律事務所の業務は、裁判の期日や書類の提出期限のように、日数で区切られた期限を数多く抱えています。たとえば民事訴訟の控訴は、判決書(電子判決書)の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければなりません(民事訴訟法第285条、e-Gov法令検索、2026年9月時点)。こうした期限に関わるレコードの更新が、他のアプリの通知と同じ一覧に紛れると、確認が後回しになりかねません。
標準機能で整理する方法と、その限界
kintone標準の機能でも、ある程度の整理はできます。
- スペースを分野・チームごとに作る:参加メンバーだけに公開する設定にすれば、関係者以外には表示されません
- アプリのアクセス権を設定する:閲覧できない人にはアプリが一覧に出なくなります
- お気に入りに登録してもらう:各自がよく使うアプリをすぐ開けるようになります
一方で、kintone標準のポータルは、2025年7月のアップデートで2枚目以降を作れるようになり、組織ごとに最初に表示するポータルも指定できます(ライトコースは対象外)。ただし、ポータル自体に閲覧できる人を絞る設定はなく、全員がすべてのポータルを切り替えて見られます。また、2枚目以降のポータルはPC版でのみ表示されます(ポータルの見かた|kintone ヘルプ、2026年9月時点)。「企業法務チームには契約書レビューのアプリだけ、家事チームには離婚・相続のアプリだけ」というように取扱分野ごとに見せる範囲を分けることはできず、出廷先からスマホで見る弁護士には1枚目のポータルしか届きません。
部署別の表示をめぐる標準機能の限界は、kintoneポータル部署別表示の3つの限界|ノーコードで見せ分ける方法で詳しく解説しています。
法律事務所向けタブ構成の具体例

ここでは、取扱分野を軸にタブを分ける構成例を紹介します。タブごとに閲覧権限を設定すると、担当する分野に応じて必要なタブだけが表示されます。
| タブ | 主な利用者 | 入れるアプリの例 | 閲覧権限の例 |
|---|---|---|---|
| 新規相談・利益相反チェック | 受付担当・全弁護士 | 顧客管理(依頼者・相手方・関与弁護士)、新規相談受付 | 全弁護士・事務職員 |
| 企業法務 | 企業法務チーム | 契約書レビュー案件、顧問契約管理、株主総会・コンプライアンス対応 | 企業法務担当 |
| 一般民事 | 一般民事チーム | 一般民事事件管理、期日管理 | 一般民事担当 |
| 家事(離婚・相続) | 家事チーム | 離婚事件管理、相続事件管理、調停期日管理 | 家事担当 |
| 刑事 | 刑事チーム | 刑事事件管理、接見記録、公判期日管理 | 刑事担当 |
| 債務整理 | 債務整理チーム | 債務整理事件管理、債権者一覧 | 債務整理担当 |
| 総務・経理 | 事務職員・経営層 | 経費管理、請求・入金管理、勤怠 | 総務・経理・経営層 |
| 全社共有 | 全職員 | 規程・マニュアル、お知らせ | 全職員 |
新規相談・利益相反チェックタブ
依頼者・相手方・関与した弁護士の情報を蓄積する顧客管理アプリを置く、分野を問わず全員が使うタブです。新規相談を受ける前に、このタブから顧客管理アプリを開いて相手方名・依頼者名を検索すれば、過去に登録した関与者と照合できます。受付担当者がこのタブで一次チェックできるようにしておくと、弁護士が対応する前の段階で気づきやすくなります。
取扱分野タブ(企業法務・一般民事・家事・刑事・債務整理)
分野ごとに使うアプリをまとめたタブです。企業法務は契約書レビューや株主総会対応、家事は離婚・相続事件の進捗と調停期日、刑事は接見記録や公判期日というように、分野によって記録する項目がまったく異なります。「事件管理」という名前のアプリを分野ごとに作っている事務所では、名前が似たアプリが並ぶと開き間違いが起きやすいため、分野ごとのタブに分けて置き場所をはっきりさせます。
総務・経理タブ、全社共有タブ
経費管理や請求・入金管理、勤怠など内勤が使うアプリは総務・経理タブに、規程やお知らせなど分野を問わず全職員に届けたい情報は全社共有タブにまとめます。
分野をまたぐ弁護士への閲覧権限は「ユーザー」で組み合わせる
一般民事と家事事件の両方を担当する弁護士のように、複数分野を掛け持ちする場合は、担当する分野タブの閲覧権限にユーザーを個別に追加します。組織・グループ・ユーザーの3軸を組み合わせて設定できるため、チーム単位の組織やグループに加えて、個人単位でもタブへの権限を付けられます。
ただし、タブの閲覧権限はポータル上の表示を切り替えるもので、データそのものを守る機能ではありません。事件記録や依頼者の秘密情報は、kintoneのアプリやレコードのアクセス権で閲覧できる人を制限してください。表示はポータル、データはkintoneのアクセス権という役割分担です。
業務の流れでタブを分ける考え方はkintone製造業ポータル活用|業務別タブ構成の具体例を紹介でも紹介しています。
取扱分野ごとにタブを分けるだけなら、フリープラン(4タブまで)で試せます。まずは「新規相談・利益相反チェック」「企業法務」「一般民事」「全社共有」の4タブから始めてみませんか。ソトバコポータルを無料で試す →
利益相反チェックと期日管理で押さえる3つのポイント
タブで置き場所を整えたら、次は法律事務所ならではの運用を整えます。
ポイント①:利益相反チェックは、受付の入口となるタブで行う
サイボウズの案件管理サンプルアプリの解説にもあるとおり、過去に登録した依頼者・相手方・関与弁護士の情報を蓄積しておけば、新規案件の利益相反チェックに使えます(案件管理(法律事務所向け)、2026年9月時点)。kintoneの開発会社が紹介している法律事務所の事例でも、利益相反のチェックをkintoneに一元化し、複数のツールを使っていた以前と比べて精度が上がり、作業負担も半分程度に減ったとしています(2026年9月時点)。
ポータルでは、この顧客管理アプリを新規相談タブの先頭に置きます。受付担当者も弁護士も「新しい相談はまずこのタブから」と決めておけば、チェックを飛ばしたまま受任の話が進むのを防げます。
ポイント②:期日・提出期限は未処理一覧とリマインダー通知で追う
期日や提出期限をレコードとして登録し、kintoneのプロセス管理(レコードごとにステータスと作業者を設定し、作業者を順に引き継いでいく機能)で担当弁護士を作業者に指定すれば、自分が対応すべき期日がkintoneの未処理一覧に並びます。ソトバコポータルでは、この未処理一覧と通知一覧をサイドバーに表示できます(全プラン)。
期限の数日前に知らせたい場合は、アプリの日付フィールドにkintone標準のリマインダー通知を設定します。届いた通知はポータルのサイドバーの通知一覧にも並ぶため、出廷や接見で席を外していても、戻ってすぐに確認できます。分野タブに、期限が近いレコードを担当者別に集計するグラフを置いておくと、誰の手元に何件残っているかもひと目で分かります。
ポイント③:事件記録の閲覧範囲は担当弁護士・事務職員に限る
ポータルのタブを見せないことと、データを見られなくすることは別の話です。ソトバコポータルが制御するのはポータル上のタブの表示で、アプリやレコードを誰が閲覧・編集できるかはkintone側のアクセス権で決まります。弁護士法第23条は「弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う」と定めています(弁護士法|e-Gov法令検索、2026年9月時点)。
事件記録や依頼者の個人情報を扱うアプリは、まずkintoneのアプリのアクセス権で利用できる担当弁護士・事務職員を絞り、事件単位で見せる範囲を分けたい場合はレコードのアクセス権も設定します。そのうえでポータルのタブを同じ範囲に合わせれば、「見られないアプリが一覧に並ぶ」状態もなくなります。アクセス権とポータル整理の役割分担は、kintoneで部署ごとにアプリを見せ分ける方法|管理者向け実践ガイドで詳しく解説しています。

タブ構成を実現するソトバコポータルの機能
ソトバコポータルは、kintoneに接続して使うWebアプリです(kintoneのプラグインではありません)。提供元の株式会社ソトバコは、サイボウズのプロダクトパートナー(2025年10月認定)です。ドラッグ&ドロップの操作だけで、ここまで紹介したタブ構成を組み立てられます。
- タブ整理・閲覧権限:アプリをタブごとに分類し、組織・グループ・ユーザーの3軸で閲覧権限を設定できます。分野を掛け持ちする弁護士にはユーザー単位で権限を追加できます
- 通知一覧・未処理一覧・グラフ表示:通知と未処理はサイドバーに表示できます(全プラン)。グラフはフリープランで1タブ1個まで、ライトプラン以上は無制限です
- 限定公開:新しいタブ構成を一部の担当者だけに先行公開してから、事務所全体に広げられます
- スマートフォン対応:kintoneの全体カスタマイズにJSファイルを1つアップロードすると、スマホでもPCと同じタブ構成で表示できます。出廷先からも自分の分野のタブを開けます
- 全体アナウンス(ライトプラン以上):事務所全体への連絡事項を配信できます。過去のお知らせはアーカイブとして残ります
価格(税抜)
| プラン | 月額(月払い) | 年額(年払い) |
|---|---|---|
| フリー | ¥0 | ¥0 |
| ライト | ¥3,800 | ¥36,000 |
| スタンダード | ¥9,800 | ¥108,000 |
kintone1環境につき1契約で、ユーザー数による課金はありません(2026年9月時点)。弁護士や事務職員が増えても料金は変わりません。フリープランは期間制限なし、決済情報の登録も不要です。
こんな法律事務所のkintone管理者におすすめ
- 企業法務・家事・刑事など複数の分野を扱っており、担当外のアプリまでポータルに並んでいる
- 新規相談を受けるたびに、利益相反チェックに時間がかかっている
- 裁判の期日や提出期限の対応漏れを防ぐ仕組みをポータルに置きたい
- 事件記録や依頼者情報は、担当弁護士・事務職員だけに見せたい
- 管理者1〜2名で運用しており、HTML・JavaScriptでのカスタマイズまでは手が回らない
まとめ
- 法律事務所のkintoneは、取扱分野ごとにアプリの中身が異なるうえ、新規相談のたびに利益相反チェックが必要になるため、ポータルが煩雑になりやすい
- kintone標準の複数ポータルは、ポータルごとに閲覧できる人を絞れず、2枚目以降はPC版でしか表示されない
- 新規相談・利益相反チェックの共通タブに加え、企業法務・一般民事・家事・刑事・債務整理の分野タブを用意し、閲覧権限で担当分野だけを見せると整理しやすい
- 利益相反チェックは受付の入口となるタブで行い、期日は未処理一覧とリマインダー通知で追い、事件記録は弁護士法第23条の秘密保持義務を踏まえてkintoneのアクセス権で守る
取扱分野で見え方を分けるkintoneの弁護士ポータルを管理者1人で作るなら、ドラッグ&ドロップで完結するソトバコポータルが最短の方法です。

