ハンディターミナルの棚卸|導入前の準備と、導入後も続くバーコード・マスタ登録
ハンディターミナルの棚卸は、バーコードを読めば品目が1つに決まります。似た商品の取り違えも、手書きの読み違えも起きにくい。在庫管理の記事の多くが「棚卸を正確にするならハンディ」と書くのは、その意味では正しいです。
ただ、「読めば1つに決まる」状態は、裏側の2つの前提に支えられています。
- 棚にある商品すべてに、バーコードが付いている
- そのバーコードが、1つずつシステムに登録されている
導入を検討する段階では、端末の機種や費用が比べられがちです。一方で、この2つの前提を最初に作る仕事と、ずっと保ち続ける仕事は見落とされやすいところです。
この記事では、ハンディで棚卸するために導入前にやることと、導入後も続く登録の仕事を整理します。
この記事でわかること
- ハンディの棚卸で、品目が「1つに決まる」仕組みとその前提
- 導入前にやる準備(マスタ登録・ラベル発行・端末)
- 導入後も続く登録の仕事(新商品・リニューアル・入数変更・読めないラベル)
- 登録が追いつかないと、棚卸で何が起きるか
- 導入前に社内で確かめておきたいこと
ハンディの棚卸で、品目が「1つに決まる」仕組み
ハンディで棚卸するときの流れは、おおむね次のとおりです。
- 商品のバーコードを読む
- システムが、その番号に登録された品目を呼び出す
- 数を入力する
ポイントは2つ目です。ハンディが読んでいるのは番号だけで、「これは何の商品か」を知っているのはシステムの品目マスタです。番号がマスタに登録されていなければ、読んでも品目は決まりません。
食品や日用品に印刷されているバーコードの多くは、JANコード(国際的にはGTIN)です。GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)は、JANコードを「どの事業者の、どの商品か」を表す国際標準の商品識別コードと説明しています。13桁の標準タイプと8桁の短縮タイプがあり、標準タイプは事業者コード・商品アイテムコード・チェックデジットでできています。
つまり、JANコードは「どの商品か」を世界で1つに決める番号ですが、その番号を自社のどの品目として扱うかは、自社で登録して初めて決まります。
導入前にやること
1. 品目マスタに、バーコードの番号を登録する
最初の大仕事は、扱っている品目ごとに番号をシステムへ登録することです。品目名・規格・単位・単価に加えて、JANコードの欄を1品ずつ埋めていきます。
いまの品目リストにJANコードの列がなければ、現物を手に取って番号を確かめるか、仕入先の商品情報から拾うことになります。品目数が多い会社ほど、ここに時間がかかります。
もう1つ気をつけたいのが、同じ商品でも、バラとケースでバーコードが違うことがある点です。GS1 Japanのルールでも、単品のJANコードと、ケースなどの集合包装の番号は分けて扱われています。ケースのまま数える品目があるなら、ケースの番号と入数も登録しておかないと、ケースを読んでも品目が出てきません。
2. バーコードのない在庫に、ラベルを発行して貼る
仕入れたままのパッケージにはJANコードが付いていても、次のような在庫には付いていないことがあります。
- 自社で加工・小分け・再包装したもの
- 生鮮品や、量って仕入れるもの
- 仕入先が独自の包装で納めているもの
- 段ボールから出して別の容器に移したもの
こうした在庫は、社内用の番号を決めてラベルを印刷し、1つずつ(または棚・容器ごとに)貼る必要があります。どんな在庫に貼りにくいかは、バーコードが使えない在庫の棚卸で整理しています。
3. 端末の台数と、使う場所の条件をそろえる
棚卸を何人で同時に進めるかで、必要な台数が決まります。あわせて、充電の段取りや、冷凍庫・倉庫の奥のように電波が届きにくい場所でどう使うかも、導入前に確かめておきたいところです。
導入後も続く登録の仕事
導入前の準備は、一度やれば終わります。見落とされやすいのは、導入したあとも同じ種類の仕事が毎月発生し続けることです。
新しい商品が入るたびに、マスタへ登録する
新しい商品を仕入れたら、その番号をマスタに登録するまで、ハンディで読んでも品目は出てきません。棚卸の日に初めてその商品に出会うと、現場の手がそこで止まります。
リニューアルや規格変更で、同じ商品の番号が変わる
見た目はほぼ同じ商品でも、JANコードが変わることがあります。GS1 Japanの「GTIN(JANコード/集合包装用商品コード)の変更ルール」では、新しい番号が必要になる場合として、次のような基準が挙げられています。
| GS1 Japanの基準(抜粋) | 現場での見え方の例 |
|---|---|
| 商品表示の変更をともなう正味内容量を変更した場合 | 1kgが900gになった |
| 商品表示の変更をともなう成分や機能を変更した場合 | 原材料が変わったリニューアル品 |
| 包装の外寸、または総重量の変更程度が20%を超える場合 | 容器の形が大きく変わった |
| ブランドを変更した場合 | 商品名やブランドが変わった |
番号が変わると、システム上は別の商品です。新しい番号を登録し、古い番号の品目と在庫をどう扱うかも決める必要があります。
入数が変わると、ケースの番号が変わる
同じルールでは、集合包装の入数を変更した場合は、ケースなどの集合包装の番号だけが新しくなるとされています。12本入りが10本入りになっただけでも、ケースのバーコードを読むと品目が出てこない、という状態になりえます。
自社のラベルは、入荷のたびに貼り続ける
社内用のラベルで管理している在庫は、新しく入ってくるたびに貼る必要があります。貼る前の在庫は、ハンディで読めない在庫です。忙しい日が続くと、貼り終わっていない在庫が棚に残りやすくなります。
読めないラベルを、どう扱うか決めておく
ラベルの汚れ・剥がれ・折れ、冷凍庫の霜や結露で、バーコードが読めないことがあります。そのとき品目を検索して手入力するのか、ラベルを貼り直すのか、誰がやるのかを決めておかないと、読めなかった商品の扱いが人によって変わります。
登録が追いつかないと、棚卸で何が起きるか
ここまでの仕事のどれかが遅れると、「読めば1つに決まる」は少しずつ崩れます。起きやすいことを並べると、次のとおりです。
| 遅れていること | 棚卸で起きやすいこと |
|---|---|
| 新商品・リニューアル品の登録 | 読んでも「該当なし」になり、現場の手が止まる |
| 「該当なし」の扱いが決まっていない | 似た品目で代わりに入力され、品目の数がずれる |
| 自社ラベルの貼り付け | 貼っていない在庫が、紙や別リストで数えられる |
| 読めないラベルの扱い | 手入力のところだけ、紙と同じ書き間違い・数え漏れが出る |
| 登録できる人が限られている | その人が休むと、登録も棚卸の段取りも止まる |
ハンディで数えた部分は正確でも、例外として残った部分に紙の棚卸と同じ間違いが集まりやすくなります。棚卸の差異の切り分け方は棚卸が合わない原因は6つに分かれるで整理しています。
導入前に確かめておきたいこと
ハンディの見積もりを取る前に、社内で次のことを確かめておくと、導入後の負担を見積もりやすくなります。
- 新しい商品・リニューアル品・入数の変わる商品は、月にどのくらい出てくるか
- その登録を、誰が、いつまでにやるか(棚卸の前日に間に合うか)
- 在庫のうち、バーコードの付いていないものはどのくらいあるか。ラベルは誰がいつ貼るか
- 読めない・「該当なし」の商品が出たとき、現場はどうするか
- 冷凍庫や倉庫の奥で、端末が問題なく使えるか
端末を入れれば正確になるのではなく、登録と貼り付けを回し続けられる体制があって、初めて正確さが保たれます。 その体制を社内で持てるかどうかを、端末選びより先に確かめておくのがおすすめです。
準備も、登録の追いかけもいらない棚卸
弊社が提供しているラクだなは、バーコードを使わない棚卸アプリです。

現場はスマホで現物を撮って、数を入れるだけ。事務所はその写真を見て、AIが並べた候補から商品を選びます。候補にないときは品目名や仕入先名で検索でき、まだ登録していない商品は、その画面でそのまま登録できます(商品登録の権限があるユーザー)。
- バーコードの発行・ラベルの貼り付けはいらない
- 棚卸の前に、新しい商品をマスタへ登録しておく必要がない
- いまの品目リストがあれば、CSV・Excelをそのまま取り込める(なくても始められる)
- 冷凍庫など電波が届かない場所でも、撮影と数量入力ができる(事前に電波の良い場所で撮影一覧画面を開いておく必要があります)
機能の詳細はラクだなの機能、実際の画面は使い方でご覧いただけます。
まとめ
- ハンディの棚卸で品目が1つに決まるのは、「全商品にバーコードがある」「その番号がマスタに登録されている」の2つがそろっている間だけ
- 導入前に、品目ごとの番号登録・バーコードのない在庫へのラベル貼り・端末の準備がいる
- 導入後も、新商品・リニューアル・入数変更のたびにマスタ登録が続き、自社ラベルは入荷のたびに貼り続ける
- 登録が遅れると、例外として残った部分に紙と同じ間違いが集まる
- 端末選びの前に、登録と貼り付けを回し続ける体制を社内で持てるかを確かめる
よくある質問
- Q. ハンディターミナルを入れれば、棚卸の数え間違いはなくなりますか?
- A. 読み取ったバーコードがシステムに登録されている商品であれば、品目の取り違えや書き間違いは減ります。ただし、登録されていない商品やバーコードが読めない商品は手入力や別リストで扱うことになり、そこでは紙の棚卸と同じ間違いが起こりえます。
- Q. ハンディの導入前に、どんな準備が必要ですか?
- A. 主に3つです。品目ごとにJANコードや社内の品目コードをシステムへ登録すること、バーコードのない在庫にラベルを発行して貼ること、端末の台数と使う場所(冷凍庫・倉庫の奥など)の条件を確かめることです。
- Q. 導入したあとも、マスタ登録は必要ですか?
- A. 必要です。新商品が入るたびに登録が要るほか、GS1 Japanのルールでは、表示の変わる内容量の変更やブランドの変更などで新しいJANコードが設定されます。番号が変わった商品は、システム上は別の商品として登録し直す必要があります。
- Q. ラベルが剥がれたり、霜で読めなかったりしたときはどうしますか?
- A. 品目を検索して手入力するか、ラベルを貼り直してから読み取るのが一般的です。どちらにするか、誰が貼り直すかを決めておかないと、読めなかった商品だけが数え漏れたり、別の品目として入力されたりする原因になります。
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