3分の1ルールとは|納品期限・販売期限の計算と、卸・メーカーの在庫の守り方
3分の1ルールとは、製造日から賞味期限までの期間(賞味期間)を3つに分け、最初の3分の1が過ぎるまでに小売店へ納品するという、食品業界の商慣習です。 法律ではありません。農林水産省は「賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例」と説明しています。
卸やメーカーの倉庫から見ると、3分の1ルールは賞味期限よりずっと前に「出せない日」が来ることを意味します。この記事では、その日をどう計算し、在庫の管理にどう組み込むかを整理します。
この記事でわかること
- 3分の1ルールで決まる、納品期限と販売期限
- 賞味期間ごとの納品期限の計算例
- 2分の1ルールへの緩和の状況
- 卸・メーカーの倉庫で、出せない在庫を作らないための考え方
3分の1ルールで決まる2つの期限
3分の1ルールでは、賞味期間を3つに分けて、それぞれの区切りに期限を置きます。
| 区切り | 期限 | 意味 |
|---|---|---|
| 最初の3分の1 | 納品期限 | この日までに小売店へ納品しなければならない |
| 3分の2 | 販売期限 | 小売店が売場から下げる目安になる |
| 最後 | 賞味期限 | 商品に印字されている期限 |
卸やメーカーにとって直接関係するのは、1つ目の納品期限です。納品期限を過ぎた商品は、賞味期限まで日数が残っていても、その取引先には納められません。農林水産省も、このルールのもとでは納品できなかったものが「賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず、行き場がなくなり廃棄となる可能性」があると指摘しています。
賞味期間ごとの納品期限の計算例
納品期限が来るまでの日数は、賞味期間によって変わります。
| 賞味期間 | 3分の1ルールの納品期限 | 2分の1ルールの納品期限 |
|---|---|---|
| 90日 | 製造から30日目まで | 製造から45日目まで |
| 180日 | 製造から60日目まで | 製造から90日目まで |
| 360日 | 製造から120日目まで | 製造から180日目まで |
賞味期間が90日の商品は、製造から1か月で納品できなくなります。工場から卸の倉庫までの輸送や、倉庫での保管の日数を考えると、倉庫で出荷を待てる日数はさらに短くなります。
2分の1ルールへの緩和の状況
3分の1ルールは食品ロスの原因の1つとされ、農林水産省は小売側に納品期限を2分の1へ緩めるよう呼びかけています。
農林水産省によると、令和7年10月時点で、納品期限を緩和(または予定)している食品小売事業者は377事業者で、前年(令和6年10月時点)の339事業者から38事業者増えています。あわせて、賞味期限を年月だけで表示するなどの「大括り化」に取り組む食品製造事業者は365事業者です。
ただし、取引先によってルールはまだばらばらです。同じ商品でも、3分の1ルールの取引先にはもう出せないが、2分の1ルールの取引先にはまだ出せる、という状態が起こります。また、外食向けなど、取引先によっては3分の1ルールが当てはまらないこともあります。
日付逆転にも注意する
納品期限とは別に、もう1つ気をつけたいのが日付逆転です。前回納めた商品より期限の早い商品を納めようとすると、受け入れてもらえないことがあります。
農林水産省は、食品小売事業者の在庫商品よりも賞味期限が前であることが理由で納品できなかった商品は、廃棄の可能性が高まると説明しています。納品期限の内側であっても、出荷の順番を間違えると出せなくなる、ということです。期限の早いものから出す考え方は、FEFOとはで整理しています。
判断基準:賞味期限から、納品期限の「日付」を逆算しておく
倉庫で出せない在庫を作らないために、決めておくことは1つです。
「在庫ごとに、賞味期限ではなく納品期限の日付を持っておく」
倉庫にある商品で確実にわかるのは、印字された賞味期限です。そこから納品期限を逆算します。
| ルール | 納品期限の求め方 | 賞味期間180日の場合 |
|---|---|---|
| 3分の1ルール | 賞味期限 − 賞味期間 × 3分の2 | 賞味期限の120日前 |
| 2分の1ルール | 賞味期限 − 賞味期間 × 2分の1 | 賞味期限の90日前 |
たとえば賞味期限が12月31日で賞味期間180日の商品なら、3分の1ルールの取引先への納品期限は、その120日前の9月2日です。
賞味期限のまま在庫を見ていると、「まだ4か月ある」と見えてしまいます。納品期限の日付に直しておくと、あと何日で出せなくなるかがそのまま見えます。出荷の順番を前に出すか、2分の1ルールの取引先に振り向けるかといった判断も、この日付を基準にすると早く打てます。
まとめ
- 3分の1ルールとは、賞味期間の最初の3分の1までに小売店へ納品するという商慣習。法律ではない
- 卸・メーカーにとっては、賞味期限よりずっと前に納品期限が来る
- 賞味期間90日なら、製造から30日目で納品できなくなる
- 納品期限を2分の1に緩和した食品小売事業者は、令和7年10月時点で377事業者
- 判断基準は「賞味期限ではなく、納品期限の日付で在庫を見る」の1つだけ
期限のついた在庫を、倉庫でどう記録してどう手を打つかは、賞味期限管理とはで詳しくまとめています。
※本記事の内容は2026年9月時点のものです。
よくある質問
- Q. 3分の1ルールは法律で決まっているのですか?
- A. 法律ではなく、食品業界の商慣習です。農林水産省は「賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例」と説明しています。取引先ごとに運用が違うため、自社の取引先がどのルールで受け入れているかを確認しておく必要があります。
- Q. 納品期限は、賞味期限しかわからない商品でも計算できますか?
- A. できます。3分の1ルールなら、賞味期限から賞味期間の3分の2を差し引いた日が納品期限です。賞味期間が180日の商品なら、賞味期限の120日前が納品期限になります。
- Q. 2分の1ルールに変わると、何が変わりますか?
- A. 納品できる期間が賞味期間の3分の1から2分の1に延びます。賞味期間が180日の商品なら、製造から60日目までだった納品期限が90日目までになり、倉庫で出荷を待てる日数が30日増えます。
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